弱冠20歳で、ジョルディ・サヴァールに、そして程なくニコラウス・アーノンクールに抜擢され、目覚しい活躍でヨーロッパの楽壇に躍り出たエンリコ・オノフリ。
イルジャルディーノアルモニコの「エンジン」と呼ばれ、名コンサートマスターぶりを遺憾なく発揮した彼は、
世界一の歌姫と言っても過言ではないソプラノ歌手 チェチーリア・バルトッリなど...超一流アーティストからの信頼も厚く、
これまでに、幾度となく共演を重ねている。
ヴァイオリニストでは、過去にチャイコフスキーコンクールで1位に輝いた かの有名なヴィクトリア・ムローヴァなどにも音楽的な影響を与え、今や彼女は自身のストラディヴァリやグァダニーニに羊腸弦を張り、オリジナルスタイルの弓を使い、
ヴィヴァルディのコンチェルトなどを次々に演奏、録音をしている。
クラシック・ファンはもとより、同業のヴァイオリニストからこそまた絶賛される真のヴィルトゥオーゾ、オノフリ。
長年、ドイツの名門オーケストラ バンベルク交響楽団のソロ・コンサートマスターとして活躍し、現在は東京藝術大学名誉教授の浦川宜也氏が、オノフリのことを、ある公団体に支援を求めるメッセージとして書いたお言葉をご紹介します。
(ご本人許諾済み)
そしてまた、日本で最も愛されるヴァイオリニストのお一人である葉加瀬太郎さんからもメッセージを頂いています。
葉加瀬さんも最近ではお住まいのロンドンでもクラシックの演奏活動に力を入れていらっしゃるなど、今後もますます楽しみなアーティストに間違いありません。

ジャンルの垣根を超えるアーティストの輪が広がります!!

takaya_urakawa_top.png浦川宜也 (東京藝術大学 名誉教授
エンリコ・オノフリの無伴奏のCDを聴いた。彼の演奏には2009年、2010年、2011年、2013年、2014年のコンサートで接していて、その内容は常にすばらしく、多くの演奏で音楽は深く、そして技術的には最高の名人芸で圧巻であった。このCDの冒頭に収録されているJ.S.バッハのトッカータとフーガBWV565も当夜演奏され、その解釈は真摯かつ刺激的で強く印象に残った。彼の演奏の水準は極度に高く、私は個人的に特にイタリアの作品の解釈に全面的に賛同する。しかし、ビーバーやテレマン等のドイツの作品も大変秀逸で脱帽せざるを得ない。

 彼の演奏は、従来「これがバロック奏法だ」と言われてきたものとはスタイルを異にしている。それは一言で表現するならば直裁的で一貫性があり、修辞法を重んじている。言い換えれば客観性に富んでいるのだ。演奏とは元来主観的なものであるにも拘らず、彼がどんなに個人的な独創性のあるアイデアをもとに演奏しようと、彼の視点は絶対にブレることがない。それ故、聴者には時折決して平易ではないが、客観的印象を持つことが可能となる。それは弦楽器奏者としての立場から見ると、まず彼の音色が最弱音も最強音でも大変美しいこと。音に芯のあること(従来のバロック・ヴァイオリン奏者の多くが「バロック奏法とは捉えどころのない、輪郭の曖昧な、ふわふわした空洞的に響く音でひくべき」と心得ていたようだが、それが誤りであることがオノフリの演奏によってはっきりした)そして、弦楽器奏者として最も重要である音程(ピッチとイントネーション)の正確さだ。それに加え速いパッセージでの左手の機敏さと、ボーイングに関しては細かく速い動きと複雑な移弦の技術の完璧さによる、このような高い技術の裏付けがあって初めて、前述のアーティキュレーションが明瞭な客観的な演奏解釈が可能になる。

 彼が今後もし日本でも、自身の演奏や教育的な、奏法そのものと楽曲解釈の視点を主眼とするセミナーを行って、イタリア的バロック演奏をさらに明かしてくれるチャンスがあれば、バロック奏法の専門家を目指す者たちにとって、この上なく有益なことであると感じている。なぜならば、バロック音楽はいわゆるウィーン古典派よりも一層客観的で、ロマン派音楽のように個人の感情が重んぜられるものではないからだ。対比せられるものが明らかにされることによって、その対極にあるものの姿もくっきりとしてくるのだ。心あるメセナの精神を発揮し、我々日本の音楽界だけでなく、世界的な見地から価値のある行動を成し遂げて下さるご支援を切に希むものである。  浦川宜也






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僕はこのところ、ヨーロッパでも大人気なピリオド楽器を使用してのバロック音楽の演奏というものにいささか否定的な立場を取ってきた。
作曲された当時のスタイルを再現するという事自体、若干の後ろ向きな感覚を覚えるからだ。
ヴィヴァルディだってバッハだって、逆にコンピュータと現代の最新テクノロジーを駆使した演奏の方が楽しいはずだ、という考えだ。

しかし、エンリコ・オノフリ氏の演奏を聴いて、そんな考えさえ吹き飛ばされた。

彼の奏でる音楽は、使用する楽器や演奏様式など、もはや関係ない。
そこには音楽が生まれたその時のドキドキ、ワクワク感が溢れているのだ。
葉加瀬 太郎



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